大学受験のとき、僕は一緒に上京した母親が高校時代のクラスメートを見舞いに行ったと言うことを知らされる。その人の名前は岩田隆信。昭和大医学部の脳神経外科の助教授だ。彼は自らが専門とする分野の病、悪性脳腫瘍に罹ったという。
脳外科医が悪性脳腫瘍にかかった。これから紹介する本はその脳外科医の闘病の記録を日記とテープをもとに編者が再構成したドキュメントだ。
私がまもなく脳死の状態になるのは、疑いようのない事実です。
それも遠くない将来に、そのときを迎えることになるでしょう。
私は脳腫瘍に冒されてしまったのです。それも「悪性グリオーマ」という最悪の腫瘍です。この腫瘍は、たとえ、繰り返し繰り返し手術をしても、何度でも再発してくる悪性の腫瘍です。そして、幾度かの手術の末、いずれは脳死に至り、やがて死を迎えることは避けられません。現在の医学では治しようのない病なのです
そして私は、脳神経外科の専門医として、自分が今後どういう状態をたどっていくのか、誰よりも正確に推測することができます。
自分が専門とする分野の病に罹ったからこそ、その症状を知り尽くしているからこそ恐怖も並大抵のものではなかったと思う。しかし、岩田医師は最期まで医学者としてその病に向き合って後世にその記録を残すことを選んだ。
「私は決して強い人間ではありません」
編者と初めて会った日、岩田医師はそう言うが、精神的にも振幅の激しいこの病のさなかにありながら、かれは強靭な精神力をもって、克明に記録を残す。これは医学者としての使命感に根ざしたものだったのではないか。


自分でない誰かの為に、というのはなかなかできないことですね。
後世の医学の為に同じ病気の患者の為に
そして自分の為でもあるのだろうけど
直接関係ないけれど
技術よりも大事なこともあると言いたくもある
私は末期癌で父を亡くしているのですが
緩和ケアだとか精神ケアだとか終末医療だとか
充実していればもう少しいい状態で見送れたかなあと思うので
物理的なものと精神的なもののバランスをとるのが
何事にも大事でそして難しい